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【名古屋市】障がい福祉サービスの指定申請がスムーズに進まない3つの理由と対策

障がい福祉サービスの事業所を開設しようと志す皆様にとって、最初の大きな壁となるのが「指定申請」です。行政への申請書類は膨大で、基準も複雑なため、「思っていた以上に時間がかかってしまう」「何度も修正を求められて計画が後ろ倒しになる」といった悩みを抱えるケースは少なくありません。

本記事では、指定申請がスムーズに進まない主な理由を、名古屋市周辺での運用を意識した視点で整理しました。これから開業を目指す皆様の不安を解消し、着実な一歩を踏み出すための手助けとなれば幸いです。


障がい福祉サービスの指定申請とは

障がい福祉サービス(就労継続支援、放課後等デイサービス、共同生活援助など)を行うには、都道府県や市(名古屋市等の政令指定都市)から「指定」を受ける必要があります。この指定を受けるためのプロセスは非常に厳格であり、単に書類を提出すれば良いというものではありません。

※ご確認事項 本記事で紹介する事例は、あくまで「よくあるケース」や「モデルケース」を想定したものであり、個別の事案や自治体の判断によって運用が異なる場合があることをご了承ください。


理由1:人員基準の理解と確保の遅れ

指定申請において、最も多くの方が苦慮されるのが「人員基準」の充足です。

「資格」と「実務経験」の確認不足

障がい福祉サービスには、サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)など、配置が必須となる役職があります。

  • 想定事例: 「資格を持っているから大丈夫」と考えていたスタッフが、実は必要な実務経験年数を満たしていなかった、あるいは研修を修了していなかったというケース。

名古屋市の審査においても、実務経験証明書の記載内容が要件を満たしているかは厳しく確認されます。

採用スケジュールとの乖離

書類提出のタイミングでスタッフが確定していないと、申請自体が受理されない、あるいは審査が途中で止まってしまう原因となります。雇用契約書や資格証の写しが揃わないことで、予定していた開所日に間に合わないという状況は、よくある停滞の要因です。


理由2:物件選定(設備基準)のミスマッチ

事業所として使用する物件が、法律や条例の基準を満たしていない場合、大幅な修正や物件の探し直しを余儀なくされます。

消防法や建築基準法との整合性

障がい福祉サービスは、用途によって建築基準法上の「特殊建築物」に該当する場合があります。

  • モデルケース: 賃貸契約を済ませた後に、消防法に基づく「自動火災報知設備」の設置に多額の費用がかかることが判明した、あるいは用途変更が困難な物件であったというケース。

特に名古屋市内で古いビルや民家を改装する場合、現行の基準に適応させるためのハードルが高くなる傾向があります。

図面と実態の相違

申請時に提出する図面と、実際の現地の状況が一致していないことも、現地確認(実地検査)で指摘を受ける原因となります。内装工事の進捗と申請タイミングの調整不足も、スムーズな進行を妨げる要因です。


理由3:制度への理解不足と書類の不備

指定申請書は数百枚に及ぶこともあり、その一貫性が求められます。

運営規定と事業計画の不整合

事業所の開所時間、定員、人員配置、加算の算定予定などが、すべての書類で整合していなければなりません。

  • よくあるケース: 運営規定に記載した内容と、勤務表(シフト表)の内容が矛盾している。

こうした形式的なミスが重なると、行政とのやり取り(補正)が何度も発生し、審査期間が長期化してしまいます。

名古屋市独自の運用ルールの見落とし

障がい福祉の基準は国が定めていますが、細かな解釈や提出書類のフォーマット、事前相談のルールなどは自治体ごとに異なります。名古屋市の「指定申請の手引き」を細部まで読み込み、現在の運用状況を把握しておくことが不可欠です。


スムーズな申請のためにできる準備

指定申請を「停滞」させないためには、以下の3つの視点で準備を進めることが推奨されます。

  1. 事前相談の活用 物件を契約する前、あるいはスタッフを確定させる前の段階で、行政の窓口へ事前相談を行うことが重要です。大きなリスクを早い段階で摘み取ることができます。
  2. 余裕を持ったスケジュール管理 指定日は通常、毎月1日です。逆算して「いつまでに書類を受理されなければならないか」を確認し、不測の事態(書類の差し戻し等)に備えて1〜2ヶ月の余裕を持つことが理想的です。
  3. 専門家への相談 人員基準や設備基準、複雑な加算制度の理解には膨大な時間がかかります。ご自身で全てを行うことが難しいと感じた場合は、行政書士などの専門家に依頼することで、経営準備に専念できる環境を整えることができます。

まとめ

障がい福祉サービスの指定申請がスムーズに進まない理由は、多くの場合、事前の確認不足や準備不足に起因します。しかし、それは制度がそれだけ利用者様の安全と利益を守るために厳格に作られている証でもあります。

一つひとつの基準を誠実にクリアしていくことは、開設後の安定した運営にもつながります。焦らず、着実に準備を進めていきましょう。当事務所も、名古屋市での開業を目指す皆様が安心して事業をスタートできるよう、誠実なサポートを心がけております。


注記

  • 本記事の内容は、一般的な制度解説を目的としたものであり、特定の申請結果を保証するものではありません。
  • 記事内の事例はすべて想定事例(モデルケース)であり、個別の状況によって行政の判断は異なります。
  • 実際の申請にあたっては、必ず最新の法令や自治体(名古屋市等)の「指定申請の手引き」を確認し、必要に応じて管轄部署や専門家へ個別にご相談ください。

行政書士わたなべオフィス 名古屋市を中心に障がい福祉サービスの指定申請・運営をサポートしています。 ▶ お問い合わせ・ご相談はこちら