障がい福祉事業で「多角化」を目指すメリットと、最大の壁である「人員基準」をクリアするための戦略を解説。サビ管の兼務ルールや、リスク分散と相乗効果を生むための考え方をまとめました。
一つのサービス(例:就労継続支援B型)が安定してくると、次に検討されるのが「多角化」です。「グループホームを併設したい」「児童発達支援も始めたい」といった相談をいただく機会が増えています。
しかし、福祉事業の多角化には、一般企業とは異なる「人員配置」という極めて高いハードルが存在します。本記事では、多角化のメリットと、基準を両立させるための現実的な考え方を整理します。
1. 障がい福祉事業を多角化する3つのメリット
なぜ、多くの事業主様が多角化を目指すのでしょうか。そこには単なる売上拡大以上の意味があります。
① 利用者様への「切れ目のない支援」の実現
例えば、児童発達支援(未就学児)から放課後等デイサービス(就学児)、そして就労支援(成人)へと、ライフステージに合わせた一貫したサポートが可能になります。これは利用者様・ご家族にとって大きな安心感となります。
② リスクの分散
特定のサービス報酬改定(単価ダウン)があった際も、複数の事業(ドメイン)を持っていることで、法人全体の経営へのダメージを最小限に抑えることができます。
③ 採用とキャリアパスの充実
「児童も成人も経験できる」という環境は、スタッフのスキルアップに繋がります。法人内で多様な職種を用意することで、離職防止や優秀な人材の確保に貢献します。
2. 最大の壁「人員基準」をどう攻略するか
多角化を阻む最大の要因は「サービス管理責任者(サビ管)」や「児童発達支援管理責任者(児発管)」の確保です。
サビ管・児発管の「兼務」ルールを活用する
名古屋市や愛知県の基準において、一定の条件下では兼務が認められる場合があります。
- 同一敷地内での兼務: 例えば、同じ建物内でB型事業所と生活介護を運営する場合、サビ管が両方の職務を兼ねることができるケースがあります(※定員数などの制限あり)。
- 多機能型事業所という選択: 一つの事業所で複数のサービス(例:生活介護とB型)を一体的に運営する「多機能型」にすることで、人員配置を効率化し、基準をクリアしやすくする方法です。
資格取得の「計画的」なバックアップ
外部から有資格者を募集し続けるのはコストもリスクも高いのが現状です。 「実務経験は満たしているが研修がまだ」というスタッフに対し、法人が費用を負担して研修に行かせるなど、**「サビ管の自社養成」**を計画に組み込むことが多角化成功の鍵を握ります。
3. 多角化経営で陥りやすい「注意点」
メリットが多い一方で、無理な多角化は経営を圧迫します。
- 現場の疲弊: 管理者が兼務することで、一人ひとりの利用者様への個別支援計画の質が落ちていないか、常にチェックが必要です。
- 専門性の希薄化: 「何でも屋」になってしまい、どのサービスも中途半端になるリスクがあります。各サービスの柱となるリーダーを明確に立てることが不可欠です。
4. まとめ:戦略的な「人員配置図」を描く
多角化経営を成功させるには、目先の指定申請だけでなく、1年後、3年後に「誰がどの資格を持ち、どのポストに就くか」という人員配置の未来図を描くことが重要です。
行政書士わたなべオフィスができること
当事務所では、複数の事業所展開を見据えた「法人全体の組織構成」のご提案を行っています。
- 「今のサビ管で、新しく始めるグループホームの管理もできる?」
- 「多機能型にするのと、別々の事業所にするの、どっちが有利?」
こうした複雑なシミュレーションを、法令と実務の両面からサポートいたします。名古屋市・愛知県での多角化をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
免責事項・注記
- 本記事に記載の兼務ルール等は、サービス種別や利用者定員、自治体の個別判断によって厳しく制限される場合があります。
- 計画にあたっては、必ず事前に管轄部署(名古屋市健康福祉局等)への確認、または専門家への個別相談を行ってください。
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