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障がい福祉事業を始めたい方へ 〜指定申請の現場からお伝えしたいこと〜

近年、名古屋市中村区をはじめとした都市部では、障がい福祉サービスのニーズが高まり、事業参入を希望される方が増えています。特に、就労継続支援(A型・B型)や生活介護、共同生活援助(グループホーム)など、地域に根ざした支援の形が注目されています。

しかし、福祉事業を始めるためには、自治体への「指定申請」をクリアする必要があります。これは単なる届け出ではなく、厚生労働省が定めた基準と、名古屋市独自の運用要件の両方を満たす必要がある非常に専門性の高い手続きです。この記事では、行政書士として指定申請の支援を行っている私の視点から、名古屋市での申請事情、準備の進め方、よくあるご相談とその対応策などを詳しくお伝えいたします。

◆ 障がい福祉事業に関心が高まる背景

名古屋市中村区は、住宅地と商業地が混在する都市的なエリアであり、障がいを持つ方の数も年々増加傾向にあります。高齢化や社会的孤立、精神的なケアの必要性など、多様な背景を持つ方が増えるなか、福祉サービスの需要も拡大しています。

こうした背景から、「地域に貢献したい」「自分の経験を生かして支援の場をつくりたい」と考える方が事業を立ち上げるケースが増えています。ただし、その第一歩として立ちはだかるのが「指定申請」です。

◆ 指定申請とは?

障がい福祉事業の指定申請とは、事業者が正式にサービス提供を開始するために必要な行政手続きです。厚生労働省が定める運営基準、人員配置基準、設備要件などを満たすことに加え、名古屋市独自の補足資料や書式にも対応しなければなりません。

例えば、就労継続支援B型を開業する場合、以下のような要件があります:
・サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員などの配置
・それぞれに必要な資格や経験年数
・相談室や訓練室、トイレの設備、広さの確保
・建物の用途や建築基準法との適合性

これらに加え、名古屋市では、全国統一様式に加えた独自の確認票や補足書類(図面、写真、契約書案など)の提出が求められます。

◆ 実際のサポート事例から学ぶ

私が支援させていただいたある法人様は、福祉業界は初めてでしたが、「地域の役に立つ事業をつくりたい」との強い思いからB型事業所の開設を目指されました。物件探しから始まり、建築基準法との整合性の確認、職員の確保と経歴証明の取得、利用者との契約書案作成、運営規程や個別支援計画の整備など、50点を超える提出書類の準備を一緒に進めていきました。

特に名古屋市の指定申請は年に数回しか受付期間がないため、スケジュール管理が非常に重要です。この法人様も、開業予定日から逆算して、3か月以上前から準備を始め、無事に初回申請で指定を取得されました。

◆ よくある質問とその対応策

Q:サービス管理責任者の経験が少し不足しているようです。申請できますか?
A:名古屋市では要件を厳格に確認されます。ただし、勤務証明の取得や他事業所との兼務による対応が可能な場合もあります。候補者の経歴を丁寧に整理し、補足資料を整えることで対応できます。

Q:物件はいつ契約すればよいですか?
A:名古屋市では実際の図面や写真の提出が必要なため、申請前に物件が確定していることが望ましいです。ただし、「指定が取れなかった場合の解約条項」を入れておくことでリスクを抑えることも可能です。

Q:書類の準備にはどれくらい時間がかかりますか?
A:初めての方が一人で準備する場合、2〜3か月かかることもあります。行政書士が関与する場合でも、1〜2か月は必要です。物件選定や職員の確保なども含め、早めのスタートが成功のカギです。

◆ 名古屋市で指定申請する際の注意点まとめ

  1. 申請受付は「期間限定」なので、必ずスケジュールを逆算して準備
  2. 人員の資格・経験要件の証明は厳格に確認されるため、書類不備に注意
  3. 設備面では、図面・面積・動線・設備配置など、細部まで整合性をチェック
  4. 提出書類全体の一貫性が求められる(事業計画書・運営規程・支援計画の整合)

これらを一つずつ丁寧に確認し、計画的に進めることで、安心して指定取得へと進むことができます。

◆ 行政書士ができること

行政書士は、法律と実務の両面に通じた国家資格者として、指定申請に必要なすべての書類の作成と調整を支援することができます。制度解釈、名古屋市特有の様式への対応、関係機関との連絡・調整まで、専門的な知見を活かしてサポートいたします。

◆ 最後に

障がい福祉事業は、単なるビジネスではなく、地域の中で人と人をつなぎ、人生を支える大切な仕事です。その第一歩を、制度理解と確かな準備で踏み出していただくために、私たちは行政手続きの専門家として、誠実にサポートさせていただきます。

「名古屋市で福祉事業を始めたい」「申請の進め方に不安がある」——そう思われたら、どうぞお気軽にご相談ください。ご一緒に、地域に必要とされる事業を形にしていきましょう。